労作時の息切れや夜間の呼吸困難などの心不全症状や再入院の
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慢性心不全の患者様は、長期的に、そして進行性に心臓の機能が低下していきます。
原因や病態などにより治療も異なってきますが、
慢性心不全患者様に行われる主な治療について紹介します。
写真はイメージです
薬物療法は、できるだけ長生きできること、また、できるだけ症状が少なく快適に生活できることを目指して行われます。
アンジオテンシン変換酵素(
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(
そのほか、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気を持っている場合にも、それぞれの病気を治療する薬剤の使用が必要となります。
心不全の病態の進行を抑え、急性増悪や入院・再入院を減らし、快適な社会生活を実現するために行う多面的かつ包括的な治療です。心臓リハビリテーションは、医師、看護師、理学療法士などの多職種の医療チームが相談し合って、患者様の状態に合わせて行う治療です。
継続して実施することで体力が回復し、心機能が改善、筋力が増強、呼吸機能が改善し、その結果、死亡率や入院率が低下することが期待できます。
また、運動によって不安、抑うつを軽減し、生活の質を改善する効果も期待できます。最近では、運動療法だけでなく、生活習慣の改善やストレスのコントロール方法などについても助言が受けられる「包括的心臓リハビリテーション」が実施されています。
肺うっ血による呼吸困難症状の改善などを目的に、マスク式の人工呼吸器(NPPV)を装着する治療です。最近では心不全患者さんに専用に開発されたASV(Adaptive Servo Ventilator アダプティブ サーボ べンチレーター)という装置が自宅で使用されることがあります。
心不全が重症化して心臓が全身にうまく血液を送り出せなくなると、心臓だけでなく肺に血液が滞り(肺うっ血)、肺に水分がしみだしてきます。そうすると肺が上手く酸素を取り込めなくなり、息切れや呼吸困難が現れます。特に夜間に横になることで、しばらくすると息苦しくなる場合があります(発作性夜間呼吸困難)。これは、夜間に
慢性心不全患者様は、急性増悪を引き起こした時に酸素不足を補うために酸素療法を受ける事がありますが、慢性期に呼吸不全が合併し、ご自宅でも睡眠時や労作時(体を動かした時)に、安静時には予測できないほどの酸素不足が生じて、心臓やその他の臓器の負担となってしまう人もいます。そのような患者様は、酸素不足を改善するために、専用のチューブやマスクを鼻に着け、ご自宅で酸素を吸入します。この場合、酸素濃縮器という専用の酸素発生装置から自宅で酸素を吸入し、これを在宅酸素療法といいます。なお、日中や夜間における思わぬ酸素不足の検査には、腕時計型の酸素飽和度測定装置(連続測定が可能なパルスオキシメータ)が使用されています。
検査についてはこちらペースメーカーは、リードと呼ばれる導線を使って心臓に電気刺激を与えることによって心臓の動きを調整する治療です。いずれもすべての患者様に対して有効というわけではなく、適応の見極めが重要です。
上記の内科的な治療以外に、適応の患者様に対しては、“肥大した心臓を小さくする、弁を修復または人工弁に取り換える、冠動脈の血液を改善する、動きが悪くなった心臓の筋肉を切り取る”などの目的で外科的な手術が検討されることがあります。
内科的・外科的治療が施されてもなお心不全症状が残る患者様において、条件を満たす場合には心臓移植が検討されます。心臓移植を待つ間に補助人工心臓(
心不全治療はその原因や病態などにより異なりますので、
自己判断せずに、主治医の指導に従いましょう。